佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋

「心配かけてごめんね。前の彼を大好きだった。けど、憧れみたいな恋で、零士に感じる気持ちと全然違うって気づいたの」

「どこら辺ですか?」

「零士の前では、素でいられる自分がいて、なんでもポンポン言い合えるの。これが恋人関係なのかなって。それに、零士は言葉と態度で好きって伝えてくれるから、一緒にいると幸せって感じる」

「幸せって感じることが一番ですね。それに素の自分をさらけ出せる相手です。そして、受け止めてくれる男ですね。私は大地さんを知って、前の彼は、ほんと小さな男だったって思い知りました」

「そ、そうなの⁈」

「はい、いろいろと小さい男でしたよ。もう、懐の深さと大きさから違います」

「…そうなんだね」

よっぽどなのか、鼻息が荒い香織に、しおりは苦笑する。

「また、一緒に旅行できたらいいね」

「そうですよ。今度は女同士であちこち行きましょうよ。海外なんてどうですか?」

「そんなに休み取れないでしょ」

「そうでした… なら、あちこちの美味しい地元食材を食べに旅行に行きましょう」

「いいわね」

いつになるかわからない旅行を楽しみにする2人だった。

男達が女の2人旅に行かせてくれるはずがないのだが、そこは、まだ独占欲という重い愛をまだ知らない2人なのだ。
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