佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
11

宿を後にした4人で、帰りは、近場のアウトレットで時間いっぱい満喫し、香織と加賀をおろして別れたことで、今回の旅行は終了となった。

2人きりになってしまい、しおりは緊張からか、なかなか話すことができないでいる。

昨日の夕食前までの時間、あんなに不埒に触ってきた零士は、明日の休みまでどうでるかと緊張しているのだ。

無事、車がマンションに到着。

「お疲れ様でした。運転してくれてありがとう」

「しおりもお疲れ様。楽しかった?」

「う、うん」

「なら、よかった」

車から降りて、両手をあげて固まった体を伸ばす零士。

しおりの荷物と自分の荷物を片手に持ち、手を差し出してくる。

この手を握ったら、どうなるのだろう?そう思ううちに、手を握られていた。

「ほら、ぼーとしない。行こう」

マンション内のエレベーターに乗り、3階まで上がって来たが、このまま零士の部屋に行くのだろうとしおりは思っていた。

部屋の前で荷物を渡されて、「じゃあな」と背を向けて隣の部屋に向かう零士に、しおりは咄嗟に動いていた。

零士の背に抱きついた。

「どうした?」

優しい声のはずなのに、なぜか距離を取られてる気がして寂しく感じる。
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