佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
この短期間で、堕ちてくれるかは零士にとって賭けでもあり、あの手この手でなりふり構わず攻めたのだ。

「俺のしおり…好きだよ」

愛しい女の唇に、軽く触れ目を閉じた。

何があろうと、あの男のように手放すものか。手放してあげれないのだと重い愛を募らせていく。

目を覚ましたしおりは、カーテンが開けられた窓から、日差しが入っていることに気づいて時計を見た。

既に、朝というには遅い時間に驚く。

「うそ、10時過ぎてる」

隣にいるはずの男の気配も部屋にはなく、ふと不安になるが、この短い付き合いでの零士の人柄は理解しているつもり。

自分の不安を打ち消し、そんな男じゃないっと思い直した。

「そうよね。よし、シャワーしよう」

何気なくベットから立とうとしたら、足腰に力が入らず崩れ、咄嗟に、ベット脇のチェストに捕まり、物がガタガタと堕ちていった。

「しおり、何があった?」

丸裸の状態のしおりに駆け寄ったのは、玄関ドアを勢いよく開けて入ってきた零士。

「…立てない。バカ」

「あー、ごめんな。シャワー行きたかったのか?」

「そうよ」

ベットに腰掛けさせられ、上に羽織らされた部屋着。

甲斐甲斐しく世話をされるのは初めてのことだった。
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