佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
「何着よう?」
まず、そこからわからない。
零士の提案で、足が向くまま散策しようとなったのだが、スカートなのか、ズボンなのか、デートという散策に何を着ればいいか頭を悩ませていた。
結局は動きやすさを重視しながら、デートぽくタートルネックのセーターにダウンベスト、プリーツスカートに足の疲れないシューズ。
肩下まである髪を後ろで緩く束ね、メイクも仕事仕様のバッチリメイクではく、ナチュラルメイクで小さなバックを手に持ち、零士の元へ。
「零士、準備できたよ」
玄関に出てきた零士は、ダッフルコートの下にタートルネック、デニムパンツで、カジュアルなのに、腕時計が絶対に高級品だとわかる為か、服も、ブランド品にしか見えないのだが、彼女といえ、それを口にすることはしない。
それぞれの収入差があることは、初めからわかっていたからだ。
だが、零士の金銭面がそれだけではないと、今のしおりは知らない。
零士もまた、御曹司ということは知らなくとも、誰もがお金に余裕ある男だと気づくだろうと知っている。そして、一度寝ただけで物を欲しがる女達を見てきた。
だが、しおりは最初からそのことにも触れず、物を欲しがらないし、遠慮して甘えることをしない。