佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋

うまく丸め込んで、お金を出させない様にしている自覚はあるが、与えることはあっても、求めることをしないしおりは、ただ、食に関しては甘えるのだから、可愛くて仕方ないのだ。

「そういう感じも可愛い」

「零士も似合っててかっこいいよ」

誰かが聞けば、どこのバカップルだと砂糖菓子を食べた顔をするだろう。

「デート行こうか」

「うん」

恋人繋ぎをして、いつも使う道とは逆へ進み、車道に沿って歩いて行く。

丘の上には、スポーツ公園があるらしく、最終目的地はそこになる。

歩いていると、匂いに誘われて見つけたパン屋で、朝昼抜いたお腹を満たす為に、惣菜パンをいくつかとドリンクも一緒に購入。

パン屋の横に、街を見渡せるテラス席があり、零士としおりは、空いている席に座って食事をすることに。

「しおり、ついてるよ」

口の端についたソースを指先で拭ってくれる零士。

「言ってくれれば自分で取るのに、もう」

拭った指先を舐める零士に呆れるしおりだ。

年配のカップルに微笑ましく見つめられ、くすくすと笑われれ、しおりは頬を染めた。

「仲がいいのね」

「えぇ、まだ付き合いたてなんで、大目に見てください」

零士は、年配のカップルに照れ笑いするので、しおりも苦笑する。
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