佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
帰りは【ff】によると、昼間の年配の男性が出迎えてくれた。来てくれたことに感謝される。そして、出てきた料理の美味しさと気持ちのいい接客に、来てよかったと満足する2人は、また、近いうちに食べに行くことを約束して帰宅したのだ。
「美味しかったね」
「あぁ…結構、人気な店なんだって」
「そうなんだ…近くにあったのに全然知らなかったな」
「まぁ、ここら辺、俺も来ることなかったしな」
「カップル多かったね」
「さっきの公園から見る夜景が綺麗らしいからな。カップルには、店で食事して、夜景見に行く定番コースだろ」
「あー。なるほど。確かに盛り上がるね」
「今度は、夜景見に行こうな」
「うん、楽しみ」
夜景に誘う男達の目的など知らない無邪気なしおりの笑顔に、零士の淫らな欲情は影を潜める。
「明日、銀行のパーティーがあって出かけるから、晩御飯一緒できないけど、いいか?」
「あっ、うん。大丈夫だよ」
「帰るから、待ってて」
零士は、部屋の合鍵をしおりの手に握らせる。
「…待ってるね」
ぎゅっと鍵を握りニコニコと嬉しそうに笑うしおりを抱きしめる零士は、彼女との時間を邪魔されない為に、明日は、いくつもの至難を乗り越えなければならないのだ。