佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋

「ほー、そこまで思うほど惚れているのか。今度は零士の彼女も一緒に連れてこい。死ぬ前にお前が惚れる女に会って見たいからの」

「療養して気弱になったのかよ。まだまだ死なれちゃ困る。ひ孫見せてやるよ」

「あははは、楽しみだ。なら、長生きしないとな。わしから奴に話をつけておいてやる。孫は自分でなんとかしろ」

「サンキュー」

確証はなかったが、この会話で、やはり見合い相手があの女だと確認できたのだ。

そして、その足で今度は父と叔父の元へ向かうのだ。

忙しい2人が揃うことなど滅多になく、正月でさえ揃うことはないのだが、今日は、東雲グループの創立パーティーがある。

そこへ、零士も親族として顔を出してから、夕方、お見合いが同じ会場の一室で行われる予定になっていた。

全てお膳立てされた見合い。

創立パーティーの招待客として、西城 麗香も親と来ているはず。

見合いさせられる本人が蚊帳の外で、不愉快極まりないまま、会場に設置された東雲家の控室に、乗り込んだ。

「親父、叔父さん、話がある」

「来た早々、挨拶もなく、なんの話だ?」

「もう、知ってるだろうけど俺は好きな女ができた。彼女と一緒になれるなら芝園を更に大きくできる。別れろというなら、東雲より好きな女を選ぶ覚悟だ」
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