佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
「結構てす。私には既に心に決めた女性がいますので、麗香さんとどうこうなることはありません。ただ、もう、付き纏われるのはウンザリなんですよ。こうして、先生をお連れしたのは、そちらの世間体もあるでしょうと穏便に済ませればと来ていただきました」
「こちらの書面をご覧になり、お嬢様とお父様のサインをお願いいたします。今後、東雲 零士さんの近辺にまとわりつく行為がありましたら、法的処置を取らせていただきますので、そちらは無事ではすみませんよ。議員としてのお立場が危ぶまれますので、お嬢様の管理は適切に取り組んでください。約束が破られることがあれば東雲家が全力で、戦うとのことです」
霧島弁護士先生の迫力に、麗香の両親は落胆の表情で肩を落とす。
娘が東雲家に嫁げば、議員として安泰だとふんていたのだろう。
ただ、麗香1人が表情ひとつ変えず不気味に零士を見ていた。
麗香を早々に芝園銀行から退職させることを約束した西城議員は、親の七光りで議員になった男だ。
なんの力もない。
祖父同士の話し合いはついているので、零士は安堵するのだ。
報告に先程の部屋に向かった。
「こちらの手筈通りうまく話し合いはつきました。充分に脅しておいたので、あちらのお嬢様はご両親の管理下に入るでしょう」