佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
「それだけで大丈夫なのか?」
「法的処置をとってませんので、これが最善策です。被害届を出されますか?そうすれば、警察も介入しますが…」
「あちらは、よろしくないだろうな」
「爺さんの手前、今回はこれでいいよ。今後、何かあれば、誰がなんと言おうとあの女に手加減なんてしない」
「わかりました。では、私は東雲家の総意を代表して今回の件を踏まえて西城 照正氏にも伝えてまいります」
部屋から退出した先生の後に残る3人の東雲家の男達。
「お前がもっと早く対処するべきだったことは反省しろよ。他のストーカーはどうするだ?」
「わかってるよ。引越ししてから、俺の知る限り、他はいなくなったはずだ」
「西城元議員の孫娘がいると対応を間違えるわけにはいかないよな」
「おい、零士の肩を持つな。元々は、こいつが…こいつの何がいいんだ?」
まじまじと息子を見る父親に、失礼な親だと憤慨する零士。
「顔だろ」
「性格は、難ありでも、この顔でちょっと、微笑んでもらったら勘違いするのか。免疫のないお嬢様だとなおさら」
「微笑んだ記憶もないけどね。兎に角、他のストーカーは、いても害はないよ。ただ、俺の顔が好きなだけの追っかけだから」
「無駄に顔がいいというのも、大変だな」