佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
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2月にはいり、恋人がいる人や片思いをしている女性にとって、心が浮き立つイベントといえば、バレンタイン。
しおりの勤める職場では、手作りチョコ派かチョコ購入派に別れるのだが…
「しおりさん、絶対喜びますよ。色白の肌に黒は映えます。これがいいですよ。これにしましょう」
「えっ…私?香織の買い物についてきただけだよ」
「なに言ってるんですか…しおりさんも必要ですよ。なんてったって、付き合いたてなんですから、ここは、エロさ重視で…ぐふふふ」
「…わたしは…いいかなぁ」
いやらしい笑い声と、にたつく香織に、しおりは若干、引き気味に足を一歩後退するのだが、手を掴まれてしまった。
「ダメです。逃しません。今度は、私の選びますよ」
来店したランジェリーショップは、セクシーさが売りのお店らしく、バレンタインのイベント用に特設コーナーが置かれ、女性客が何人も吟味している。
確か今日は、通常通りに営業が終わり、香織に誘われて買い物についてきた。
バレンタイン用の買い物に付き合う為に。
しおりも手作りしようかなぁと思っていたので、零士には、香織と食事することになったと夕方に連絡済みなのだが…