佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋

「どちらのか見せて頂いてよろしいですか?」

上着のポケットから出てきたのは、日本メーカーの携帯Gシリーズだった。

ここ近年は、某海外メーカーの製品が主流となり、日本メーカーは押され気味だが、彼の持つシリーズは、某メーカーにも負けない性能を持っている。

「色は三色ございますが、お決めでしょうか?」

「ブラックかホワイトとかで悩んでます」

「では、実物をお持ちしますので、3番席でお待ちください」

東雲が3番席へ移動すると、しおりはGシリーズのブラックとホワイトを棚から取り出し、席に向かった。

「こちらのブラックは青みがかった黒となってまして重量感のあるあきのこない色となってます。そして、こちらのホワイトは、パールホワイトと言いまして光沢感がございます。ご覧ください」

ケースから取り出し、配色を確認してもらうのだが、東雲はじっとしおりを見つめていてやりづらい。

「佐藤さんなら、どれ選ぶ?」

「私ですか?」

「そう」

「どちらも素敵な色合いだと思います。現在、お客様はブラックをお持ちですので、ブラックもいいと思いますし、反対の色にしてみられるのもいいと思います」
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