佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋

「はい、口開けて」

「…美味しいよ。しおりも食べて」

悪い笑みを浮かべてチョコを口に含み、しおりにキスしてチョコを流し込んでくる零士の手は、服の中に忍ぶのだが、…首を傾げた後、お互いの口についたチョコを舐める零士。

「ねぇ、何か忘れてない?」

「…あっ、そう。待っててね」

奥の部屋に行き、すぐに戻ってきたしおりが手に持つのは、小さめな箱。

「バレンタインプレゼントなの。零士に似合うと思って買ったんだ」

思っていた期待と違うのだが、プレゼントを開封する零士は、自分好みのネクタイに笑顔になる。

「よくわかってるね。ありがとう。嬉しいよ」

「えへへ、喜んでくれて嬉しい」

「…あのさ、他にもあるよね?」

なんのことだろうと、今度はしおりが首を傾げるのだ。

「俺に見せる為に買った物あるでしょ。きて見せてよ」

「…えっ、えぇー。どうして…かおりから聞いたの?」

「うん、エロ可愛いんでしょ。見たいな」

「…どうしても?」

「どうしても」

「引かないでね」

「うん」

極上の笑顔で微笑む男の期待に満ちた表情に負けて、うーと唸り、決意したしおりは、寝室のクローゼットに隠したランジェリーを着るのだ。
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