佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
15
ホワイトデー当時までに、購入した物が間に合って満足する零士は、後は、どう切り出そうかと悩むのだ。
ホワイトデーは、お互い仕事がありレストランで待ち合わせをすることにし、待つしおりは、零士が頑張って奮発してくれたのだと喜んでいた。
少し遅れてやってきた零士と個室での食事を楽しんでいた。
「個室じゃなくてもよかったのに…頑張ってくれてありがとう」
「たいしたことないよ」
そう、零士にとって、たいした金額でもないが、今は、緊張から、顔が強張っていた。
最後のデザートが運ばれてくる。
3号程の小さなイチゴのケーキに、可愛くデコレーションしてあるプレートがしおりの前だけに並べられた。
「零士のは?」
「俺は甘いのは、ほら、苦手だから…しおりが食べてよ」
「ありがとう」
フォークを入れたが、硬い物に当たる。
「何か硬い物があるよ?お店の人に教えた方がいいよね」
「いや、大丈夫だから…食べていけばわかるよ」
しおりは、硬い塊をよけながらケーキを食べていくと、ガラスの箱が出てきて、中には、何やらリングらしき物を見つけて目をみはる。
「…」
そっと、ガラスの蓋を開けて取り出して、光る石のついたリングと、零士を交互に見るのだ。
零士は、しおりの足元に膝をつき、手を取り指輪を薬指にはめていく。