佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
「俺と結婚してください」
うそ、ほんとっと喜び涙を浮かべるしおり。
「話さないといけないことがあるけど、俺はしおりと一生添い遂げたい。しおりのいない人生なんて、耐えられないよ。だから、離してあげれない」
「…私でいいの?重いよ…別れてあげないんだからね」
「しおりじゃないとダメだよ。俺こそ、別れてあげれない。ごめんね」
出会って半年、付き合って3ヶ月も満たないけど、お互い一緒にいる時間は幸せなのだ。
この先も、永遠に彼の側にいると、零士に抱きつく。
「零士のお嫁さんになる」
「…言ったな。取り消しは無しだぞ」
しおりをかき抱く零士は、上手くいったとほくそ笑むのだ。
数日後に、とてつもなく焦る事態になるとは知らずに。
今まで以上に幸せで、零士と手を繋いでマンションに戻ったのだが、3階ではなく7階を押した零士に驚く。
「7階?」
「プレゼントは、別にあるんだ」
3階には、1LDKが6部屋あるが、7階の通路には、2部屋分の扉しかない。
下の3部屋分の広さのある部屋のドアを開け、明かりをつける零士。
リビングがしおりの部屋の倍以上の広さがあり、前面に大きな窓と外は広々としたテラス。
対面式キッチンに、使い勝手のよさそうな水回り。