佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋

部屋も一番広い部屋とは別に3部屋あり、各部屋にクローゼットもある。

「この部屋、同じマンション内とは思えないほど素敵よ。内見に来たみたいで楽しい…」

「ここで一緒に住まない?」

「えっ?プレゼントって⁈ここのお部屋のお家賃高いよね。無理してない?」

「…しおりが嫌なら他のマンション探すけど、ここじゃ、いや?」

「嫌じゃないよ。ただ、毎月のお家賃が心配なの。零士は稼いでいるかもしれないけど、私は、少ししか出せないよ。生活していける気がしない」

「しおりに一円も出させないよ。ここのマンション自体、俺が所有者だから、支払いするのは、光熱費だけ。ここで住もう。しおりの好きな景色を一望できるよ」

「…へっ?」

間抜けな声だが、驚く発言にそうなるのは仕方ないと思う。

「ま、待って。マンションの所有者って、どういうこと?」

「うーん。ここに引越しすることを決めた時に、前の所有者から買い取った」

「ごめん、ついていけない。買い取るって、その大金は?」

「うん、落ち着いて聞いて」

「なに?」

「芝園銀行の入ってるグループ名知ってる?」

「知らない」

「そうだよね。興味ないとそういうものだよ。芝園はね、東雲グループの一つの企業なんだ」
< 165 / 182 >

この作品をシェア

pagetop