佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
部屋も一番広い部屋とは別に3部屋あり、各部屋にクローゼットもある。
「この部屋、同じマンション内とは思えないほど素敵よ。内見に来たみたいで楽しい…」
「ここで一緒に住まない?」
「えっ?プレゼントって⁈ここのお部屋のお家賃高いよね。無理してない?」
「…しおりが嫌なら他のマンション探すけど、ここじゃ、いや?」
「嫌じゃないよ。ただ、毎月のお家賃が心配なの。零士は稼いでいるかもしれないけど、私は、少ししか出せないよ。生活していける気がしない」
「しおりに一円も出させないよ。ここのマンション自体、俺が所有者だから、支払いするのは、光熱費だけ。ここで住もう。しおりの好きな景色を一望できるよ」
「…へっ?」
間抜けな声だが、驚く発言にそうなるのは仕方ないと思う。
「ま、待って。マンションの所有者って、どういうこと?」
「うーん。ここに引越しすることを決めた時に、前の所有者から買い取った」
「ごめん、ついていけない。買い取るって、その大金は?」
「うん、落ち着いて聞いて」
「なに?」
「芝園銀行の入ってるグループ名知ってる?」
「知らない」
「そうだよね。興味ないとそういうものだよ。芝園はね、東雲グループの一つの企業なんだ」