佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋

「あー、やっぱり、プロポーズされたんですね。私、バレンタイン後に、いくつか候補を出されて指輪選び手伝いましたから…あっ、手伝いはSNSでですよ」

「えっ、ありがとう。私好みで驚いたけど、香織が裏にいたのね。でも、いつ御曹司って気づいてたの?」

「えへへ。…零士さんは東雲ですよ。ここじゃ珍しい苗字だとおもいません⁉︎。芝園銀行は、東雲グループの傘下ですし、一族ぐらいかなって思ってました。でも、御曹司でしたか」

納得顔の香織を前に、興味がないことに関しては無知の自分を反省するのだ。

「そっか…怒る前に、知ろうとしなかったのは私だわ」

「何言ってるんです。全てを話してからプロポーズしないなんて、騙し討ちじゃないですか。怒っていいです」

「そうだよね。香織も加賀さんが御曹司と知ったのは、なんで?」

「休みの日でも、仕事って言って出て行くことがあるので、浮気を疑って問い詰めたんです。それで、暴露ってくれましたよ。実際、銀行が休みでも、自分の家の仕事だったみたいですけどね」

まだ、腹立たしい香織は鼻息を荒く鳴らすのだ。

「あっ、そこの2人」

そこへ店長が休憩から戻ってきた。

「はい」

「あなた達、有休消化してないでしょ。今月中に消化しないと会社としてまずいから、休み申請出してね」
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