佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
「東雲、おまえ、彼女と連絡取れてるか?」
夕方、銀行から帰る際に深刻な表情の加賀に、呼び止められる。
「今は、気持ちの整理待ち」
「悠長だな。彼女が今日どこにいるか知ってるか?」
「仕事だろ」
「今日、明日と2人は休みをとっていると確認済みだ」
「…」
「見てみろ」
加賀に見せられたSNSには、明らかに2人が一緒だと思われる写真があった。
背景に映る人影は、女性2人だ。
「一緒にいるな…ここ大阪だよな」
「このホテルわかるか?」
「この館内…GHだな。ここにマークがある」
画像を大きくすると、ロビーにあるソファに、グラントホテルのロゴが入っているクッションを見つけた。
「黙って旅行とか、どういうつもりだ?」
落ち着いているようで、内心焦っている零士は、心当たりがありすぎて、爪を噛んでいた。
「多分、言い出したのは香織だな。この間、浮気を疑われて、家のこと話ししたんだよ。きっと話すタイミングじゃなかったんだよな…信用してないから隠し事してるんだって、めちゃくちゃ怒ってたしな」
「俺も似たようなものだ…話す順番間違えたんだ。先に全部話ししてから、プロポーズするべきだった気がする」
男2人は、自分の誤ちに大きくため息をつくのだ。