佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
「もう…嫌いじゃないよ」
「俺はしおりが好きだよ。結婚したいし、愛してる。しおりは?」
「…ずるいよ。そんなこというの。…好き、愛してる…だけど、結婚は考えられない」
「俺が東雲だから?」
「…そう。私は普通の家で育ったの。だから、零士のお家のことや、その世界のことは何も知らない。だから、お勉強する時間をちょうだい」
「それって、いつかは結婚してくれるってことだよね」
「うん…」
「良かった。それなら待つよ。だったら、とりあえず、帰ったらすぐにあの部屋で一緒に住もう」
妥協という有無を言わせない提案だった。
「わかった。引越し頼まないとだね」
「大丈夫、俺も頼むから一緒に頼んで置くよ」
「…お願いします」
安堵した零士は、しおりを抱きしめる。
「仲直りできてよかった。別れる気なかったけど、焦った」
「ふふ」
「なに、笑ってるの?」
「べつに」
しおりは、追いかけてきた零士の気持ちを知り嬉しいのだ。
「ふーん。ねぇ、しおりちゃん…仲直りしようか?」
「仲直りしたよ⁉︎」
「わざと、とぼけてるの?焦らすつもりなら、ここですっごいキスするよ」
零士の意味する仲直りに、しおりは頬を染めて、零士の耳元で誘うのだ。