佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
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ほぼ半同棲状態から、正式に同棲することになった2人は、服以外を新しく買い替えることにした。
もちろん、零士により丸め込められたしおりは、頷くしかないのだ。
「2人の新居なのに、前の物を使うなんて野暮だよ。これから2人の生活が始まるんだよ。全部買い替えようね」
そこにある零士の小さな嫉妬など、しおりは知らない。
前の男のものがないと思うが、一緒に選んだ物や奴が使っていた物があるはずなのだ。
そんな物を一つでも入れたくないという、小さな嫉妬。
できることなら、服も買い替えてやりたいが、さすがに怒られそうなので、徐々に買い与えて、前の服を処分させる計画を立てている。
2人の休みの日が合うことは滅多にないので、カタログを取り寄せて2人で選んだり、それぞれが見て周り、相談して選びぬいた部屋が出来上がったのは、ゴールデンウィークに入る前だった。
ゴールデンウィークを利用して、しおりの実家に零士と一緒に帰省。
「しおりのご両親に同棲認めてもらえてよかったよ」
「そう?同棲なのに、挨拶必要だったのかな?私も、零士のご両親とお爺さまにお会いした時は緊張したよ」
そう、あの大阪で、同棲することを約束したしおりは、なぜか翌週には、突然決まり、零士のご両親とお爺さまに、2人で会いに行っていた。