佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋

半年後のそれぞれの幸せ


【しおり➕辰巳】

勤め先のスタッフの退職と前任の店長が他店への移動が重なり、人手不足の為、妊婦のしおりは、お昼だけのパートとして、お腹が大きくなってもギリギリまで働いていた。

店長の代わりに誰か来るまでの繋ぎだった。

なかなか、店長の代わりの適材が見つからず、他店の店長が掛け持ちで店長を務めてくれていたが、しおりが辞める頃になって、前の彼氏だったアテンダーの遠藤 辰巳が、代理店長としてやってきて再会していた。

お腹の大きなしおりを見て驚く顔に、クスリと笑うことができ、もう、過去の男なのだと感じる。

「えっと、佐藤さん」

「今は東雲になりました」

「あっ、そうなんだ。旦那さんって、一緒にいたことのある彼?」

「はい」

幸せそうに微笑むしおりを見て、こんなに美人だったか?と惜しく感じるのだが、今は、もう人妻なのだと、手放したことを後悔するのだ。

遠藤は、前の彼女とよりを戻したが、結局、長続きはせず別れていた。

あんなに好きだと思っていた女だったのに、しおりと違い、わがままな女だっただけで、疲れる存在でしかなかった。

この男の幸せは、しおりを手放したことで失ったのだ。いつか、また幸せが訪れることがあっれば、今度は離さないように捕まえておこうと
思うのだった。

「結婚おめでとう。幸せそうでよかったよ」

「ありがとうございます」

しおりの笑顔を眩しいと感じ、目を細める辰巳に幸が訪れる日が来ればと願うしおりだった。

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