佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
【大地➕香織】
「香織、そろそろ俺達一緒にならないか?」
プロポーズというには、場違いな場面で加賀は香織にプロポーズを突然するのだ。
「なんで、今?」
「東雲達の結婚式見て、ふと思った。香織とあそこに立ちたいなって思ったら、口に出してた」
今は、大好きな先輩のしおりと零士の親族だけで集まったウエディング。
膨らんだお腹を気遣いながらも、幸せそうに微笑む姿に感動していた時にだ…
「やり直して」
「えっ?」
「今は、しおりさんの大事な場面なの。邪魔しないで」
あの一件以来、2人のチカラ関係が変わっていた。
加賀なりに、一世一代のプロポーズをダメ出しされて、落ち込む姿を横目に捉える香織は、クスリと笑う。
不器用な男に惚れた弱みなのか、つい、世話を焼きたくなる。
「落ち込まないでください。結婚してあげますから、もう少し、場所を考えてやり直してください」
加賀は、後でプロポーズに人気な場所を検索しようと、祭壇に立つ2人の姿を羨ましく見つめるのだ。
自分も愛する女と夫婦になる為に、もう少し頑張る必要があると思うのだ。
手を繋いでくる香織を愛おしく思い、思わず唇にキスしていた。
「もう」と頬を赤ながら怒る香織に、満足して、今日の夜は頑張るぞと、違う方向へ意力が向いていた。