佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
なぜだか、照れたしおりは先を歩いていく。
遊歩道から車道に出てマンション内の東雲の部屋。
「お邪魔します」
「どーぞ、散らかってるけど」
「ほんと、散らかってますね。彼女に片付けしてもらったどうですか?」
スーツはかけてあるが、あちこちに物が散らばっている。
「女に片付けさせたら勘違いするだろ。そういうの嫌なんだよ。だから、ここに女を呼んだことは一度もないよ」
あーなるほどと、しおりはこの男が特定の彼女を作らない男なのだと理解し、嫌いなタイプだと嫌悪したのだ。
そして、なぜだかショックを受けていると気がついていない。
「うわっ、クズ」
それが、知らずに声に出していた。
「うるせー、どうせクズだよ。どいつもこいつも俺の外見しか見てないくせに、一回寝たぐらいで彼女面されても迷惑しか思わないね」
「あーそういう人なんですね。わかりました。早く携帯出してください」
不機嫌にしおりは、東雲に操作手順を教えていく。
「できましたね。じゃあ、お邪魔しました」
「おい、待てよ」
「なんですか?」
「何、怒ってるんだよ」
「怒ってません。離してよ」
手首を掴まれて、掻き抱かれたしおりは、東雲を見つめる。
お互いに視線が絡み、東雲がしおりの唇を塞いでいた。