佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
嬉しそうに笑う東雲に、しおりは、戸惑いながらも、辰巳とは掛け合えない言葉の応酬を楽しんでいた。
「あっ、そうだ。東雲さんって、どこの会社勤めですか?」
「芝園。嬉しいな。俺のこと知りたくなった?」
「嘘だ。こんなチャラいのに銀行員?」
芝園といえば、大手銀行であり、並大抵の大卒では入れない、難関企業で有名なとこだ。
「ほんと。営業で外回りばかりだけど、銀行員だ。乗り換える気になった?」
「そうじゃなくて、今度、合コンというか飲みに行きません?」
「えっ、どういうことかな?俺以外の男探すつもりなら、断固拒否するよ」
「だから、私は、彼一筋です。そんなことじゃなくて、私の後輩に新しい出会いを提供してあげたいんです」
「そんなムキになると傷つくぞ。彼氏とダメになったら、俺だからな。他の男に譲る気ないし、彼氏候補、俺だからな」
真剣な東雲に、しおりの心はキュンとなるのだ。
こんなに思われるのも、初めてで、彼氏がいても嬉しいと思うのは、乙女だからだろうか?
「合コンしてくれるんですか?」
「いいよ。ただし、2対2だからな」
「はあ⁈いい男じゃないと承知しませんよ」
「大丈夫、俺の次にいい男だし、性格も、まぁいいと思う。多分」
呆れ顔のしおりに、苦笑いする東雲だった。