佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋

「了解です」

ピシッと、敬礼ポーズに、東雲は笑う。

「ほんと、たまんねーな。好きだよ…そういうとこ」

東雲は、自分の口から信じられないものが出たというように、手のひらで口を覆い、言葉をつけ足した。

しおりは、首まで真っ赤になって、「お、お邪魔しました」と、出ていったのだ。

扉一枚挟んで、2人は、顔を覆う。

「マジかよ」

「マジなの」

そんな呟きは、動揺していたからだった。

月曜日まで、東雲と会うこともなく、平日、土日と、些細な仕事を見つけて没頭したしおりだった。

そして、月曜日、香織と3時過ぎに待ち合わせして、カフェでお茶をした後、ウィンドショッピングを楽しんでいた。

すると、ショッピングモールのブースにある系列店に、辰巳を見つけた。

(こっち来てたんだ。もしかして、泊まる予定にしてるかな?)

そう思ったしおりは、影から辰巳にメールを送り、今日仲間と飲みに行くことを伝えた。

着信に気づいた辰巳は、画面を見て、すぐポケットに入れた。

別に返信を返してほしいとは思っていなかったが、ブースにいる綺麗な女性に見られないように隠す姿と仲良く会話する辰巳の柔らかな表情に胸がザワザワとしたのだ。
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