佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
(あんな表情の辰巳さん、知らない)
モヤモヤとしつつ、香織のペースで振り回される。
「しおりさん、このピアス今日の服に絶対、似合います。どうですか?」
普段、ピアスや指輪などの貴金属をつけることを控えている我々だが、ピアスの穴は空いているし、ネイルだって楽しみたい。
なので、今日、久しぶりにネイルをしたしおりだが、耳には、何もつけていなかった。
特に気合いを入れる必要性もないので、香織のように気合い充分で、出てきたわけではなかった。
香織が進めるピアスは、小さなパールが3つと二重に広がるジルコニアを敷き詰めたスタッドタイプのリングピアスが、可愛らしさを引き立てていて、お値段も手頃だった。
「うーん、可愛いけど、つけて出ることもあまりないのよね」
「えー、似合いますよ。耳に当ててみてください」
鏡に映るピアスは、確かに今日の服装に合わせてるように見える。
「まぁ、この際だし、買っちゃう⁈」
「買っちゃえ、買っちゃえ。私も、ピアス買おうっと」
香織は、自分用にピアスを探しだしたのだ。
しおりは、買ってすぐにピアスをつけたが、久しぶりに耳につけるピアスに違和感もある。
つい、耳が気になり髪を耳にかけて耳を触ってしまうのだ。