佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
重量感のあるドアを開けると、中は賑わっていて、カウンターの男性が「いらっしゃいませ」と声をかけてくる。

「少し早いんですけど、8時に東雲で予約してると思うんですが、席、空いてますか?」

「お待ちしてました。お疲れ様は、お越しですよ。お席にスタッフがご案内します」

ホールにいたスタッフにより、奥へと案内されると、ボックス席で、庭が見える素敵な席だった。

「東雲さん、先に来てたんですね」

「しおりちゃん、待ってたよ。ここ座って」

東雲は、自分の隣にしおりを誘導するので、ここで拒否するほど空気が読めないわけじゃないと隣に腰掛けた。

すると、必然的に香織が空いてる席にとなるのだが、恥ずかしがる香織は立ったままでいる。

「隣どうぞ」

「失礼します」

動作と言葉がおかしくなっている香織は、かなり舞い上がっているようだ。

「よし、揃ったし、自己紹介の前に飲み物頼もう。何にする?」

それぞれ、最初なのでビールとなり、スタッフに4人分のビールとおまかせコースの料理を頼むことになった。

すぐに、ビールとおつまみにとチーズの盛り合わせがテーブルに並び、彩りサラダが前菜として届いた。

「じゃあ、まずはかんぱーい」

こういう場に慣れてる様子の東雲は、仕切りグラスを4人と重ねていく。
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