佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋

「もう、大丈夫よ。彼なりに愛してくれてたんだろうけど、結局、私の一方通行だったの。東雲さんの胸を借りて泣いたら、なんだかスッキリしちゃって、遠い昔のことに感じるくらい穏やかなの」

「どういうことですか?東雲さんの胸を借りたって。まさか、やけになって東雲さんとやっちゃたとか?」

「してないから。泣き止むまで優しく抱きしめてくれただけよ」

「うわー、東雲さん、かっこいい。大抵の男って、そこで関係に持ち込もうとするのに、やはり、モテる男は、違いますね」

「東雲さん、かっこいいものね」

「私の彼氏が一番ですけど、うふふ。東雲さんって銀行内でも人気高いらしくて、告白されまくってるらしいです。今まで同じ職場では作らないって断ってたらしいんですけど、最近では、好きな子がいるからって断ってるらしいですよ。しおりさんのことですよ。いやー、素敵です。吹っ切ってるなら、東雲さんと付き合うのありですよ。クリスマス目前ですし、いいんじゃないですか?」

「前の恋がダメになったから次って、そんなの東雲さんに失礼よ」

「えー、私には、合コンをセッティングしてくれたじゃないですか?」

「それとこれは違うでしょ。私は、東雲さんの気持ち聞いてるもの。寂しさを埋める為に利用できないわ」
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