佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
温泉といい、ホテルのスイートといい、東雲の祖父にはバレることは間違いないだろう。
年明け早々にある、零士にきた見合い話が破棄になればいいのだがと、零士は思っているが、そう、簡単にうまくはいかないのが、東雲家に群がる連中だ。
なんとしても、自分の娘と結婚させて、縁続きになりたいのだ。
そんな結婚しかないと諦めていた時期もあったが、今は、しおりに出会い、考えも変わってしまった。それは加賀にもいえることで、ホテルの一室をおさえるよう頼まれて、交換条件を出してある。
それは、しおりと付き合うことができてからだが…
そんなことは、もちろん知らない香織としおりは、旅行を楽しみにして、話に盛り上がるのだった。
今年のクリスマスイブは、日曜ということで、昼間から、どこもカップルばかりだが、携帯ショップは閑散としている。
今日は、香織は休みをとり加賀とデートだ。
独り身のしおりは、デートの予定で気もそぞろのスタッフを閉店と同時に帰して、代わりに、閉店作業を1人でする。
去年の今頃は、しおりも浮かれ、気もそぞろの1人だった。
辰巳とクリスマスデートを前に、仕事中も浮かれていたなぁと思い出す。