佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
ほんと憎めない男だと思うしおりだった。
今日は、髪をアップにしてまとめいる為、髪を気にして食事することもなく、なるべくお淑やかに上品に食事をするしおりだが、表情豊かだ。
一品一品、進めていく度に、笑顔が溢れていく。
変に気取る女達と違い、美味しいものに目を輝かせ、口元を綻ばせる姿は見ていて気持ちいい。
もっと、美味しいものを食べさせてやりたいと思うのだ。
東雲の視線に気がついたしおり。
「なに?」
「美味しそうに食べるしおり、可愛いなって。餌付けしたくなるよ」
「餌付けって、ペットじゃないし」
頬を膨らませながらも、満更でもないように顔を赤くするしおりも、零士の心をくすぐるのだ。
(ほんと、ツンツンして可愛い)
ツンなしおりが、腕の中で甘える姿を想像する零士だった。
デザートは、プレートでやってきて、クリスマスらしく可愛いサンタとツリーの焼き菓子が添えられたイチゴのショートケーキに、色鮮やかなマカロン、チョコレートムースだ。シャンパンはノンアルコールだが、高級感漂うラベルに、しおりは尻込みする。
「これ、高いよね?」
「コースだから、そこまでじゃないだろ」
だが、ここのテーブルだけ飲み物が違う気がするしおりだった。