佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
辰巳に恋してた気持ちはまだ残っているが、もう、送ることもない辰巳の連絡先を削除した。
あんなに好きだと思っていたのに、割と平気だったことに驚くしおり。
そして零士は、しおりを抱きしめる。
なんだか、こそばゆさを感じるしおりは、零士の背を叩く。
「零士、離してよ」
「やだ…キスしたい」
「零士って呼んでるのに?」
「ダメ?」
「ほんと、ずるい顔」
「利用できるものは利用しないと。おやすみのキスしよう」
なぜだか、しおりの部屋のドアを開けて、玄関内に導いた零士は、しおりを抱きしめ覆うように唇を塞いできた。
暗がりの中チュッ、チュッと唇の皮膚を触れ合うキスが響き、調子に乗った零士は、しっとりと唇を甘く喰んでを繰り返してくる。
予想外のキスに、最初は抵抗したしおりだったが、「シー」と唇をなぞる息に、ゾクリとし、甘くずるいキスを受け入れていた。
気が済んだ零士は、暗がりの中しおり表情を見て満足してから、おでこに軽くキスをして微笑む。
「こんなの恋人同士と変わらないじゃない」
顔を真っ赤にさせて、キスを受け入れてしまったことを悔やむしおり。
「おやすみ。鍵閉めてな」
クスリと笑い出た瞬間、ガチャリとドアが閉まり、苦笑する零士。