佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋

零士の今までの女性達への扱いに腹立たしさを感じると同時にキュンと高ぶる心音に戸惑う。

甘さを漂わせる零士を前にしたら、この感情から逃げ出すしかないしおりは、つれなく振る舞う。

「ごっこだけどね。ほら、片付け終わらないと、ご飯作らないよ」

「うわっ、それは困る。片付ける、片付けるから、手伝って」

無邪気に装うことで、しおりが気を許していることを理解している零士は、あざとく笑う。

それが可愛いと思うしおりは、苦笑するのだ。

「もう、零士はそこのテーブルね。私は、キッチン片付ける」

キッチンは、ほとんど料理なんてしたことがないのだろうと思えるほど、綺麗なガスコンロ。

その代わりに、キッチンまわりは、カップラーメン類のインスタントに、コンビニで買ったと思われるお弁当類の空の容器が袋に入って山積み。

棚には、買い置きの袋ラーメン類、冷凍庫には冷凍食品ばかり。

まぁ、一応、調味料類は少し置いているが、ほとんど使用したこともないのだろう。

「こんなのばかり食べてるの⁈」

「外食もするから」

呆れるしおりは、頭が痛いというように片手で顔を覆う。

「しおりが毎日作ってくれる?」
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