佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
「うふふ、なに、それ?寝心地悪かったら承知しないから」
「言ってみるもんだな。もうベットインする?」
「言い方」
「流されてくれなかった…」
しょげる零士を見て、緊張しないようにふざけているとしおりは思って、笑った。
「流されません」
零士も、そこいらの男となんら変わらない欲望の塊だと気づかない。
ふざけているが、あわよくばと油断させて、ここぞとばかり攻めているのだ。
恋人ごっこなんていって初めてるが、初めから零士には、愛しい彼女だ。
いつでもキスしたいし…
キス以上も…
この腕の中で、艶やかに自分色に染まるしおりを堪能したいのだ。
まだ、次の恋に臆病になっているしおりを無理強いして抱くことはしない。
我慢だと、笑顔の裏に欲望を隠すのだ。
零士に寝ぼけながら、チュッ、チュッとこめかみにキスされて、心がくすぐったい。
昨夜、寝た状態とほぼ変わらない状態で、目覚めば、零士に抱き枕のように抱きしめられたままで、頬が緩むしおりは満更でもない。
「起きてるんでしょ⁈そろそろ目を覚ましたらどう?」
「いやだ。このまましおりと寝てたい」
可愛くて仕方ない奴と思い、しおりは、ふいにいたずら心が芽生えた。