佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
「零士、おきて…あさだよ」
チュッとおでこにキスしたのだ。
目を大きくパチリとあけた零士は、驚き顔でいる。
「しおりからキスされた。やば、嬉しい…でも、もう一回してくれないと起きない」
そう言って、目を閉じるわがままな、どうしようない男に成り下がるのだ。
最初は、おでこを選んだのだが…目の前の唇にキスしたくなったのかは、しおりにもわからないが、自然と唇にキスしていた。
「チュッ」
瞬時に離れようとしたのだけれど、後頭部を押さえられたまま、体勢が変わり、零士が上からキスの続きをしてきていた。
触れるキスなんてものじゃない。
初めてキスされた日のように、唇を甘く喰み、唇の表面を舌先がなぞり、焦らして唇が開くのを待っているキス。
「んっ、ふぁぁ、あっ…」
「人が我慢してるのに唇にキスするなんて、悪い女だな」
唇の上で零士の揶揄う声に、恥ずかしさと期待で唇はワナワナ震えている。
そこへ、唇を擦り合わせて、頬を撫でる零士の手のひら。
だが、それ以上は、零士はしてこなかった。
「もっとしてほしいって顔だな。でも、おあずけ…この続きは、付き合ってからしよう。だから、早く俺を好きになりな」