佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
部屋に戻ったしおりは、真っ先に部屋を掃除しだす。

ここ最近、零士の部屋に入りびったっていたせいで、掃除ができていない。

年末の大掃除を始め、集中することで、頭の中を空っぽにしているのだ。

途中、朝食と昼食を兼ねて、残っていた食パンをたまごサンドにして食べた。

2日まで留守にするので、いたむ食品はお腹の中に入れ、そして、また部屋を片付けて、キャリーケースに2泊3日分の荷物を準備する。

忘れ物がないことを確かめて、ふと、先程のキスを思い出す。

あんな切なく甘いキスをされて、我慢を強いる零士の姿を見せられて、心は動かされない女がいるだろうか?

あんなに我慢するほど大事にされて、愛されてる喜び。

女冥利につきるのではないだろかと、結論に至る。

この旅行で、零士との関係が変わる予感がするしおりだった。

運転をかってでた零士が迎えに来て、香織達と合流し、後部座席には、しおりと香織が座り、助手席に加賀が座る。

「2時間くらいで着くけど、途中、休憩いる?」

「いります。お菓子と飲み物、いっぱい買いましょ」

「遠足かよ」

零士の突っ込みに、大地がつけたす。

「昨日から、この調子。子供みたいにはしゃいでたからな」
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