佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
「もう、大地さん、私は、子供みたいにはしゃいでないよ」
「はい、はい」
「そうやって流す」
ぷーと膨れる香織を可愛いと思っているらしい加賀は、後ろを振り返り、「いい子にしてないとご褒美あげないぞ」と、笑う。
突然、ぴくりと反応して顔を赤らめる香織に、満足すると、前を向いた。
バックミラー越しに、零士が『あーぁ、しつけされたか』と香織を見てから、隣の加賀に冷ややかな視線を送る。
加賀は、口元に笑みを浮かべてごまかすのだ。
斜め後ろから零士の運転する姿をじっと見ているしおりがいることに気がつかないで、『まぁ、このカップルは、うまくいっているようでなによりだ』と前方に集中する零士。
しばらく走り、残り半分まできたところで、近場のスーパーで買い出し要員が出動。
スーパーの中をまわり、香織とカゴにあれこれと入れていくしおり。
「零士は、ビール派だけど、加賀さんは?」
「彼は、なんでも大丈夫だと思います。しおりさん、いつから東雲さんのこと呼び捨てなんですか?」
「あはは、最近かな」
「もしかして付き合ってます?」
「うーん。恋人ごっこ」
「なんですか?恋人ごっこって?」