佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋

「人を好きになるのに時間なんて関係ありません。恋に堕ちるのは一瞬ですよ。モタモタしてて逃す前にドーンといきましょ」

その頃の男2人は、車で待機中。

「手の早い東雲が、まだ手を出してないのか。これは、傑作だな」

「うるさい。…前の男のこともあるし、慎重に動いてるんだ」

「へー、いつもの遊びじゃないのか⁉︎」

「本気なんだよ」

「お前の口から、そんな言葉が出てくるなんて、今までの女達が知ったら、驚くぞ」

「揶揄うな」

「ふん、ぼろがでて、ふられなければいいな」

「だから、その前に心ごと手に入れたい。しおりに余計なこと言うなよ」

ニヤリと笑う加賀に、釘を指すように鋭い目つきで睨んでいた。

そこへ、しおり達がカートを引いて戻ってきたので、買い物した荷物をトランクに乗せて、宿へ向こう。

宿の部屋は離れになっていて、しおり達と香織達の部屋も、離れていた。

てっきり、壁一枚隣だと思っていたしおりは、急に、零士と2人きりになる部屋にドキドキしだす。

「びっくりだね。こんな素敵なお部屋が2つも取れるなんて、零士の運が良かったのかな」

「そうだな。たまたま運が良かったのかもな」

緊張するしおりは、部屋中を探検しだす。
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