佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
平屋の一軒家のような広さで、玄関から入ると目の前には日本庭園があり、右から順に和室とその奥に和風のベットがある寝室。そこから繋がる囲われた露天風呂があり、室内には浴室とトイレに繋がる洗面所が広くとってあり、玄関へと戻ってくる。
いわゆる、日本庭園を囲んだ口の字になった部屋となっていて、外部から中を見ることはできないような設計。
一通り見て周り、お正月ということもあり、宿の金額が恐ろしいと感じる。
「ねぇ、少しだそうか?」
「金がないわけじゃない。好きな女の前なんだ、カッコつけさせてよ」
唇を尖らせて、顔を赤くするしおりを零士が抱きしめる。
「ずるい、そう言われたら何も言えないじゃない」
東雲家がおさえている部屋なので、金額なんて知らないのだ。まぁ、本来、泊まるはずだった人物に貸しができただけの話だ。
「気持ちがあるなら、お礼にキスしてよ」
おでこを合わせて、キスを催促する零士を見上げ、こくりと息を呑んで背伸びをし軽く唇へキス。
「えー、もう終わり。足りない、もっと」
一度、物足りない甘さのあるキスを経験してしまったしおりは、零士の思うツボのまま、軽いキスができるほど抵抗感はなくなっていた。
そして零士の催促により、何度も戯れのキスを続け、それは、部屋のドアチャイムが鳴る頃まで続いていた。