佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
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しおり達の部屋に4人分の夕食が準備されていく。大晦日ということで、特別に作られた豪華な和風懐石料理に、舌つづみがでるしおり。
「豪華だね」
食べる気満々で髪を束ね、数分前までの、甘い時間の余韻を残さないしおりとは反対に、零士は、まだ、余韻を引きずっていて苦笑する。
そこへ、予定時刻より遅れて加賀達が合流してきたが、加賀達もここに来るまで、ご褒美という戯れを楽しんでいて、遅れたのだ。
食事をしながら4人で楽しく談笑した後、女性陣は、本館にある大浴場へ向かった。
男たちは、部屋にある露天風呂に2人で浸かることに。
「幸せそうだな」
「はぁっ?突然なんだよ」
「お前のそんな顔、初めてだよ」
「どんな顔だよ?」
「ゆるみきった顔」
「なんとでもいえ。好きな女といて幸せなんだ」
加賀は、片眉をあげ、驚く。
「本当に変わったな」
「そうだよ。好きな女ができたことに驚いてるし、キスだけで我慢できる俺にも驚いてるさ」
一方の女性2人は、その頃…
「私、調べたんですけど、ここの宿の一泊のお値段、安いお部屋で13万円からになってました。個室だといくらになるんですかね?」
「安くて13万⁉︎一泊が⁉︎1人の金額で」