佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
「そうですよ。普通の人よりお給料もらっているって言いますけど、いくら銀行員でも、おかしいんです。身につけている物にしても、車にしても、高級ですよ。そんなに、お給料っていいんでか?」
「そう言われればそうだけど、普通のマンションに住んでいる普通の人よね」
「そうなんですよ。だから、不思議なんですよ」
女性達が、内心不思議がっているとは思わない男達は、この爪の甘さが仇となり、ヒヤリとする日があるとは思ってもいない。
大浴場を楽しんできたしおりと香織が戻ってきて、年越しを目前にして4人で晩酌が始まる。
こちらを見てにやにやと笑う大地と香織が、ベッタリとくっついているのは、わかる。
本物のカップルだもの…
だが、しおりと零士のこの状況は、いかに?
自然と手を握られて、定位置とかした胡座の上に座らされている。
羞恥でいたたまれない状況のしおりは、俯き、お酒のペースは早まって酔っていくのだ。
そんなしおりを愛で、頬を緩める零士に、加賀は驚かされるばかりだが、茶化すことなく心に留めていく。
加賀と香織は新年に向けてカウントダウンを始めだし、花火を見る為に庭に出ていった。