佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋
外から部屋中に響く音がいくつも鳴りだしていく。
「あけましておめでとう」
零士が柔らかい笑みを浮かべて、ほろ酔いのしおりの頭を撫でれば、こてりと頭を零士の胸に預け「あけましておめでとう」と、へにゃりと笑い、唇にキスしてくるしおりに、零士は欲望は刺激される。
可愛い酔っ払いに、零士は内心、頭を抱えて悪態をついていた。
(くそっ、可愛いだろ。ぐちゃぐちゃに抱き潰してやろうか)
香織達は、花火音が鳴りだしてから庭に出ているので、しおりも花火を見ようと立ち上がろうと思うのに、腰を抱き込まれていて立ち上がれないでいる。
「ねぇ、離して」
「ダーメ。ここにしおりがいないと落ち着かない」
腹部にある零士の手が、しおりを逃がさないように更に力を入れる。
「花火見ようよ」
「なんで?」
「新年の始まりだよ」
「花火よりキスしたい」
顎を持ち上げられて、視線が絡む。
零士の親指がしおりの唇をいたずらになぞり、その指で今度は、自分の唇をなぞる。
それは、艶めかしい誘惑だった。
自然と目を閉じてしおりと重なる唇にしっとりと触れ、お互いに角度変えて甘い吐息を吐き、何度もキスは続く。