その執事、プライベート立ち入り禁止につき
「執事の一番の仕事は、主人と信頼関係を築くことだ。このままじゃ埒《らち》が明かない」
「玲紗、よく聞け」
「俺を信頼しろ。美佐子様が亡くなった今、お前の味方は一人減った。でも、代わりに俺がお前の味方になるつもりで仕えているんだ」
その言葉を聞いた瞬間、涙が溢れそうになった。
23歳にして、膨大な相続。
新社会人として会社勤めも始まり、多忙な日々だった。
でも母は祖母と仲が悪かったのに、私は母にワガママを言ってこの家に住むことにした。
そんな母に心配などかけたくなくて、相談すら出来なかった。