その執事、プライベート立ち入り禁止につき
「ずっと玲紗に恩を返したかった。それに、実家を出たあとにここで雇ってくれた美佐子様にも」

「そして、働いているうちに思ったんだ。執事として仕えることでこの家への恩を返そうと。ずっとずっとそう思っていた」

「だから美佐子様が生きている時も、時が経って玲紗の記憶が薄れるまで会うつもりはなかった。「小娘の世話をしたくない」なんて嘘をついて。そして、しばらくして美佐子様が亡くなった」

「主人として現れた玲紗にただの執事として仕えるつもりだった。プライベートなんて見せずに、仕事を全うすることで恩を返そうと思ったんだ。それにプライベートの俺を見せて幻滅されるのも怖かった」


私と目を合わせながら話していた千田さんが、急に私を抱きしめる。
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