その執事、プライベート立ち入り禁止につき
「でも、あの時から変わっていない玲紗に惹かれていった」

「ずっとこの秘密を隠したいと思っていたのに、どこかでバレてもいいとすら思い始めていた」


千田さんが私を抱きしめる腕の力を緩めて、私ともう一度顔を合わせる。


「玲紗、あの時からずっと好きだった。もう、執事としてだけじゃ足りない。もっともっと俺に頼って欲しい」


千田さんが私の頬にキスをする。


「千田さん、私、こう見えてしっかりしてるんです」


「え・・・?」


「祖母の家を相続しても不安はあったけど、ちゃんと主人としてやれていたはずです。人に甘えなくても自分のことは自分で出来る」

「でも、弱音を吐きたい時もある。今、弱音を吐けるのは千田さんしか思い付かない」

「きっと、もう私が甘えられると思っているのは千田さんだけです。仕事中の甘い千田さんも、プライベートの口の悪い千田さんもどっちも大好きです」

「だって、どちらの千田さんも優しさが隠しきれてないから」


私は千田さんの目をじっと見つめる。
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