今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─

悪役令嬢、婚約しません



<もし私が悪役令嬢だったらどうする?>


そんな問いを前世で何回も考えたアンは、見事、悪役令嬢に転生を果たしていた。

公爵令嬢として生まれ、何の苦労もなく育った10歳の今、鏡の中の自分を見てアンは不意に悟った。


(あ、私。悪役令嬢のアンだ……)


艶やかなブロンド髪に、紅の瞳が猫目の悪役美人顔。

前世でハマっていた乙女ゲー「君と魔王とLOVEしてる」の悪役令嬢アンの顔だ。


王太子の婚約者となり、いずれは恋に狂った嫉妬で罪を犯して断罪死刑にされる。この世から退場必須の存在である。


前世のことはぼんやりとしか思い出せない。残念なことに、乙女ゲーオタクだったことしか思い出せない。どれだけオタクだったんだ。



(でもこれだけはわかる)



突如としてふんわり楽しいばかりの子どもの思考が晴れて、大人になってしまった。



世界が急に輪郭を持って、オタク脳が働き始める。



(この世界には、推しがいる!!)

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