今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─
ミカエルの胸で大きな音が弾けた。高鳴り、高揚し、興奮に満ち満ちた。
なんて豪胆な女だ。
ミカエルに媚びを売らないどころか婚約したくなくて全力で身体を投げ打つ女は、ミカエルを乱し、魅了した。
「ふっ……アハッハハ!」
ミカエルは思わず口から笑い声が漏れて、顔を片手で覆った。
(そんな見事な女、俺の思い通りにしてやりたくなるに決まってるだろ)
何もかもが簡単過ぎて平穏無味だったミカエルの退屈な日常に、風穴が開いた。
「絶対、俺の女にしてやる」
狂気の少女(中身は三十路)は、少年ミカエル(ガチの10歳)の心を一瞬で奪い取ってしまったのだった。