今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─
ミカエルは天然の魔法の天才だが、大魔法使いというわけではない。
「ミカエルが留学で鍛えてきたのは治癒魔法でしょ?」
「治癒魔法ってのは全魔法の集約の先にあるような分野なんだぞ?」
「どういうこと?」
ミカエルが治癒魔法についてあれやこれやとうんちくを繰り出すが、アンはそこはスルーする。ミカエルは頭が良すぎるために話がわからないことが多々ある。
流す。
これも長いこと通信し続けてきたアンの妙技だ。話の勘所だけわかればいい。
「つまり?」
「つまり、俺は治癒魔法を根本から発展させるために、基本属性の魔法は全部鍛えてきたってこと」
「全部……」