今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─
悪役令嬢、それ独占欲です
ヘレナに頼られて嬉しいアンは、ダンスパーティに向けて意気込んでいた。昼休みにヘレナと共にダンスホールで、手を取り合い練習に励んだ。
「痛ッ!」
アンの足の指先に、ヘレナの靴のヒールが刺さる。ヘレナが悲壮な顔色でアンから一歩離れた。
「ご、ごめんなさいアン様!わ、私、消えた方がいいです!」
「待って待ってヘレナ!私が教えるの下手でごめん!」
ヘレナに基礎ステップを教えて、アンが男性役をして二人で踊ってみるが何をしてもうまくいかなかった。
アンはダンスホールの端っこでうずくまってしまったヘレナの隣に座った。
(ジェイド先生が相手なら、絶対大丈夫なんだけどな……でもヘレナ確かにダンス下手ぁあ!
どうしよう!これダンス失敗したら私のせいなんじゃ!自信つけさせなきゃ!)
ヘレナがすっかり自信をなくして目を潤ませてへにょっと眉を下げた。アンがへこむヘレナを自信満々にのぞき込む。
「あのね、ヘレナ。実は本当にダンスの上手な人って、パートナーを躍らせるのが凄く上手なのよ」