今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─
ミカエルが歩けば人垣が開いて道ができ、壁の華をやっていたアンの元にまっすぐミカエルがやってきた。
だがミカエルは凍った会場を気にすることなく、アンの前に手を差し出す。
前々から誘いもしないで、勝手にドレスを送って来て、断るにべもなく手を差し出す。これを俺様と呼ばずに何と呼ぶ。
「おい、アン。踊るぞ」
「すごい怖い人キターーー」
正装に身を包むミカエルはそれはそれは眩しく尊い存在であるが、こいつのドン引き発言のおかげで会場はまだ凍ったままだ。
シンとした中で、アンに踊ろうと言い出した。どの面下げてそう言うこと言えるんだこいつ。あ、天才のツラですかそうですか。
「ミカエル……さっきあなた何言ったかわかってる?」
「ブスがこの俺に声かけるなってやつか?ブス、と面と向かって言わなかっただけ紳士だろ俺は」