今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─
悪役令嬢、勘違いオコです
ミカエルと心が通じ合って浮かれてしまったアンは、推し活にもウキウキ浮かれまくっていた。
ダンスパーティの夜を終えて、ヘレナが授業に出てこなかった。アンは透明魔法に身を包んで、いそいそと保健室へと向かっていた。
(ストーリー進んでるね!)
ダンスパーティ後に魔王に襲撃されたヘレナは、ちょっとした怪我をしてしまう。心配性のジェイド先生から保健室に軟禁、いや療養を言い渡されているはずだ。
(過保護なジェイド先生をルッキングしなくっちゃ!)
アンは意気揚々と保健室に忍び込む。無防備にドアが開きっぱなしだったので、開閉の音に気を使う必要もなかった。
アンが萌供給にわくわくしながらきょろきょろすると、カーテンが何重にも引かれた向こう側のベッドから声が聞こえた。
「こ、怖いです、ミカエル様」
「黙ってろ」
(ヘレナと……ミカエル?)