今ドキの悪役令嬢は婚約破棄どころか、婚約しません!─せっかく傷物令嬢になったのに、顔が天才な俺様王太子が絶対、私を諦めない!─

ミカエルはアンが顔に自ら火傷を作って、自らに呪いをかける豪胆な女だと知っている。その火の玉が本当に撃ち込まれることを予想できた。


「今日はゴキゲン斜めか?機嫌とってやるから落ち着けよ」


無策で挑めないミカエルは不本意ながらアンとの間に防護魔法を纏って、スタスタと長い足でアンに近寄る。


アンがひょいと指先をミカエルに向けると火の玉が勢いよくミカエルを襲って爆発音を上げる。


ミカエルの周りで爆ぜる火の玉が部屋を破壊するのを見て、その威力にミカエルは真顔になった。


「さすが俺のアン、魔王になれる。今度一緒に魔法生物を狩るか?」


魔王になれる、は子どもの魔法を褒める時の常套句ではあるが、アンの年ごろになってまでこの言葉を使われるのは、お前危険、の意味である。

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